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6月ケヤキ

6月 ケヤキ

ケヤキは日本を代表する落葉広葉樹で本州、四国、九州に国外では朝鮮半島,台湾、中国大陸東部に分布する。
良く生育した個体は高さ25メートル、直径4メートル以上となり、天然記念物や巨木の指定を受けている木も多い。
まっすぐに伸びる幹、その上に優雅な曲線を描いて扇状に広がる大きな樹幹を持つ樹姿は美しく、冬の葉を落とした樹形も楽しめる。
江戸時代には建材用として徳川幕府が植栽を奨励したことや、その後も立派なケヤキのある家は格式が高いとされたことから関東近郊の農村では現存する大木が多い。

古代においては「槻(ツキ)」と呼ばれていたが、16世紀頃から欅(ケヤキ)と表記されるようになった。ケヤキは「けやけき木」で、他の木より一際目立って樹形が端整であることや、木目が美しいことを意味する。

日本のケヤキがヨーロッパや北アメリカでも公園や街路樹として栽培されることも多い。
北アメリカでは代表的な街路樹であったニレが病害のためにほとんど枯れてしまい、ニレに代わってケヤキが植えられたケースが多い。病虫害にたいして強いといわれている。

樹皮は灰白色または灰褐色で、ふつう裂けることはないが、老木では雲母状に大きく剥がれる。皮目も若いうちはほとんどない。
新しい枝は緑褐色で、ジグザグになり、白色の毛がある。2年目の枝は灰褐色で、直線的になり、円形の皮目ができ、毛はほとんどない。

葉は前年枝の葉腋から伸びる新しい枝に互生し、長楕円形あるいは卵状披針形で、左右が多少非対称になり、長さはふつう3~7センチで、先はやや尾状にのび、基部は浅く心形あるいは円形になる。葉質はやや厚く、はじめ表面には伏した毛が散生し、また裏面では中肋に沿って微毛があるが、成長とともに無毛になる。
葉の縁には一重の鋸歯があり、鋸歯の先は尖る。葉には10~18対の側脈があるが、側脈は葉の縁に達する前に消失する

花はあまり目立たないものの、春の芽出しと同時に黄緑色の花を咲かせる。
雄花と雌花があり、同一株に両方ともつき、開葉より若干早く、新しく伸び出た枝の下方につく。雌雄ともにお椀状の花被をもち、直径は2.5ミリくらいで、花被の上半分は4から6裂する。

果実は核果で、いびつな球形になり、褐色で、直径4ミリほど。果肉は液質にならず、種子はやや硬質の内果皮に包まれる

種子の散布方法
ケヤキの葉が例年より小さくなって弱っているみたいだから見てくれないか?という話で、確認に行ったところ、種がびっしりついていて、確かに葉が小さくなっていた。
これは種子が着いている場合の特徴で、種子が付いていない個体では通常の大きな葉が付く。
ケヤキは葉の付け根に種子がつくが、秋になってその種子がポロリと落ちるわけではなく、葉のついた枝先自体が落ちて、風に飛ばされるという珍しい散布方式をとっている。
カエデ類の種やマツ類の種には翼がついていて、種を風に乗せて遠くへ飛ばすが、その翼の役目を枝先全体の小さくなった葉がおこなっている。
種付きは葉柄が短くなり、葉は通常の1/2~1/3程度になる。

ケヤキの樹形
樹形は下枝が少なく、まっすぐに伸びる幹、その上方に優美な曲線を描いて扇状に広がる大きな樹冠をもつ樹姿は美しい。
ケヤキは落葉高木で秋には美しく紅葉し(黄色や赤褐色)、緑陰樹として、また樹形が美しいこともあり、都市部の街路樹としてよく使われ、各地に有名なケヤキ並木があります。
見事なケヤキ並木で有名な明治神宮の表参道が、201本のケヤキが植えられたのは大正10年(1921年)です。
都市部のように根の周囲をアスファルトやコンクリートで固められたような場所で育つケヤキは本当に丈夫である。
ケヤキは大きくなるので、街路樹などでは枝を落とされ不格好な形になっているものもよく見かけるがかわいそうに思える。
晩秋から冬の落葉したケヤキは樹形が分かりやすいので、慣れれば遠くからでもすぐにケヤキと判別できる。

ケヤキの樹皮は若いときははがれないが、年輪を重ねてくると、鱗状の思わぬ形になって剥がれてくる。
剥がれた面はのみで削ったような、金槌でたたいたような凹みが出来るが、この剥がれかたの不思議なところは、亀裂が入るまでは、一体どこが剥がれてくるのか想定できない所だ。

ケヤキ材
欅の用途は非常に広く建築材としてもあらゆる部分に使われます。
ケヤキの材質は硬く、摩耗に強い、長年腐朽しない「重・硬」の部類に入りるが切削加工は容易です。
耐朽性が良いことや保存性が高いこと、木目が美しく良い光沢があることなど、我が国で産する広葉樹の中で最良の材質の木です。
大きな材は、建築材として寺社建築、城建築に使われます。
神社には主としてヒノキが使われるのに対し、お寺の建築にはケヤキが欠かせない重要な材で、虹彩や欄間はケヤキで作られます。

木材界では青ケヤキと赤ケヤキ、または槻と欅に区別しています。
ケヤキ材は材質によって価格が著しく違い、辺材の深い青ケヤキと辺材の薄い赤ケヤキでは同じ体積の物でも2桁の価格の違いがあります。
そのため、長らくケヤキとツキという2種類があるとされてきましたが、現在はケヤキ1種類であり、材質の違いはケヤキの生育状況によって違うものとされています。
ケヤキというのは成長がよく年輪幅が広いと重硬な材となり、成長が遅いと年輪幅が狭く道管(孔)の割合が多くなるので軽い材になるという、今までの常識が当てはまらない性質を持っています。
青ケヤキは年輪幅の広い若い木を指し、樹皮が青味がかっているので青木と呼ばれます。
青木は辺材が厚く、心材部も青味を帯びた褐色で美しさに欠けます。
若いケヤキは辺材の成長が大きく、割ると辺材の側に大きく反る材質なので加工が容易ではありません。 このような暴れやすいケヤキを総称して槻といい関西では青ケヤキを槻と呼んでいます。
また、ケヤキは一般的に杉林の中にあるものは良質材と言われ、竹林にあるものは色合いが落ちると言われております。

大径になったケヤキには、こぶがあったりするため、ケヤキ材は中の繊維の配列が不規則になりいろいろな形の「杢(もく)」が現れます。
美しい「杢(もく)」があると、化粧的な価値が高くなり、装飾的な部材としても使われます。
杢の出る部分は樹皮上に親指で押したような丸い窪みがあって樹皮を剥ぐと瘤が見え、この下の材が玉杢の出る部分です。
ケヤキの杢は、玉杢、如輪杢、笹目杢などがあり、突板加工されて床の間の床板違い棚の地板、棚板、地袋の天板などが銘木関係の準備品として生産されています。
ケヤキの如輪杢はあらゆる杢の中で最高級の折り紙付きの数少ない杢模様です。

利用方法
ケヤキは、材が緻密で堅いこと、大きな部材がとれることから、古来様々な用途に使用されており、現在でも高級材として取り扱われています。
大黒柱、梁、上がり框、建具、造作、自在(自在鉤)、囲炉裏縁、寺社の彫刻、一般家屋の恵比寿大黒の彫刻、仏壇、太鼓、臼と杵、農機具、墨壺、和家具材、船艦、椅子、食卓、馬車、汽車の客車、漆器の木地、飯杓子、楽器(太鼓胴、三味線胴、琵琶胴)。
特に杢(もく)(如輪杢、鶉(うずら)杢、玉杢、牡丹(ぼたん)杢)が出ている材は、貴重な室内装飾品、文房具、上質な箱類、戸棚、戸板、煙草盆、小箱に利用しました。

ケヤキ製の汁椀は、汁が冷めず手に持って熱くなく、落としても欠けない日常道具の名品です。
ケヤキで彫った仏像も多く残されていることから、良質のケヤキ材の耐朽性がわかります。

清水寺の舞台の柱
ケヤキの耐用年数は800~1000年もあるといわれています。そのためケヤキはお寺や神社を建築する際の柱として不可欠な用材です。京都東山の清水寺の舞台は78本のケヤキの柱で支えられ、高さは12m以上もあります。

太鼓
和太鼓の材として最高の物とされているのはケヤキ材です。ケヤキは弾力と重さがあり音を反射しやすいためです。また、強度と耐久性に優れており、加工しやすいと言うことも挙げられます。さらにケヤキは木目が美しく、使用年数が重なるほど、質の良い色つやが出てくるということも和太鼓に適しています。

鉄道林
鉄道林とは自然災害から線路を守るために鉄道沿線に設けられる森林です。土砂災害や落石、雪崩、吹雪などから鉄路を守ります。ケヤキは生長が早く、根張りもよく、岩石地や崩壊地にもよく生育するので、土砂崩壊や落石を防ぐ目的で斜面に植栽されることが多い。

日本一の大ケヤキ
山形県東根(ひがしね)市の東根小学校の校庭には、日本一と称される大ケヤキが聳えている。高さ28m、根周り24m、樹齢1500年以上と推定される国指定特別天然記念物で、天空に向かって繁り聳え立つ巨樹は、生命力と霊性の強さを感じさせる。

ドラえもん中の話「ぼくの生まれた日」では「のび太」の名前の由来が語られていました。
「のび太」の名前は、病院に植えてある木を見たパパが、木のように伸び伸びと育って欲しいということから「のび太」と名付けたそうです。
子供が生まれたと聞いて、病院に着いて子供を見たパパは、ママに子供の名前をのび太にしようと話す。病院から見える木のように、伸び伸びと育ってほしいと。
ところでその木が何の木かと言うことです。

テレビで見た木の特徴としては、洋式の建物の2階にママは入院していて、そこから木の緑の部分が見え、3階ぐらいの建物ぐらいの木の高さがある。木の下の方は枝が無く、上の枝と葉が茂っている方は楕円形の樹形となっているということです。
その木はケヤキの新しい品種の「ツクモケヤキ」ではないかと。
ケヤキは空に傘状に広がりますが、ツクモケヤキの「むさしの1号」と言う品種の樹形は、楕円形で絵に描いたような美しい扇形になるそうです。

ケヤキの名前の由来は、高木でひときわ目立つところから、また材の木目が美しい"際だった木"という意味の「ケヤケキキ」で、「けやけし」には尊い、秀でたの意味があります。
のび太の名前には秀でた子供になってほしいという親の願いも見受けられます。

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