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11月カイノキ

11月カイノキ

カイノキ(楷の木)Pistacia chinensis (ピスタシア シネンシス)はウルシ科カイノキ属で、雌雄異株、樹高20㍍以上になり、豊麗で品格ある樹形を呈する。
種形容語のchinensisは、中国産という意味です。カイノキは日本には自生しません。
東アジアの台湾など、中国では華北から長江以南に生える、落葉の大きな木です。
ナンバンハゼ、トネリバハゼノキの和名もあり、ハゼノキ同様に赤く紅葉する美しい木です。

中国では殆んど全土に生育し 黄連木 黄連茶 その他の別名も多く 秋の黄葉が美しいという台湾では爛心木と呼ばれている。 牧野富太郎博士はこれに孔子木と命名された。

属名のPistaciaは聞いたことがあると思います。あのピスタチオです。
ピスタチオナッツはPistacia vera(ピスタシア ベラ)ウルシ科カイノキ属の実です。
この実を付ける植物は、日照の強い乾燥した地域であるトルコなど、中東に原生する落葉の高木です。そしてカイノキと近縁、同属です。

実をつけるまでに 20 年もかかり,それまでは雌雄の区別がまったくつき ません。
また,発芽率は低い(50%程度)が,成長力は大きく,樹齢は 700 年に も達し,樹高は 20~30m になります。

葉は偶数羽状複葉だが、奇数の葉が混じることがある。
小葉は5-9対で、倒卵披針形で、濃い緑色をしている。秋には美しく紅葉する。

花は円錐花序で、4-5月に葉に先立って赤い小さな花を咲かせる。
雄花は淡黄色、雌花は紅色を呈する。
秋には5-6mmの赤い球形の果実を房状につける。果実は熟すると紫色になる。

夏には大きな木陰を提供し、秋には美しく紅葉することから、街路樹、公園や庭園などに植えられることがある。

若葉には特異な芳香があり、茶の代用にされるほか、山菜として食用にもされる。

材質は堅く、心材は鮮黄色で木目が美しい。優良な家具材であり、船材、杖、碁盤などに用いられる。

種子の42.26%が油からなっており(仁部分の油含有率は56.5%)で、燃料やバイオディーゼル燃料に使用するため栽培されている。

カイノキの漢字は、楷の木もしくは楷樹です。楷書の楷です。
楷書は、一画、一画ごとに筆を離し、漢字を四角く書く書体です。
つなげる書体は草書です。
カイノキという名前は、葉がきれいに対生でそろっていること、枝の出方が整然と整っていることが楷書の特徴に似ているということです。
カイノキの葉は通常5~6対の偶数羽状複葉をなして独特です。
「楷」は中国では模範の木とされており,日本においても書体の「楷書」の 語源とされていて,訓は「ノリ」,意味は「つよくまっすぐ」「てほん」です。

山東省曲阜(きょくふ)にある孔子の墓所、孔林は至聖林とも呼ばれ、2500年に渡る孔子とその末裔(まつえい)が眠っています。
総面積30ヘクタール、家系墓所としては世界最大。
墓碑数10万、1万本もの樹木が植えられ、それは一つの森です。
孔子は荒れ果てた戦乱の時代に、人々に精神の拠りどころを示した偉人です。
孔子自身は不遇な人生だったのかもしれません。
しかし、古代の教育者として弟子たちに敬愛され、時代をへて神格化されていきました。

孔子は弟子の子貢にみとられながら息を引き取ったとされます。
孔子の墓には、子貢が師をしのび、カイノキを植えたとの石碑があります。
およそ2500年前に子貢が植えたカイノキは、今は枯れた株だけが残っています。
しかし、タネによって、その木の子孫は代々受け継がれてきました。
中国では科挙の試験に合格した者に、カイノキから笏(しゃく)を作り、授けたことから、学問の木とされています。

わが国に渡来したのは 1915年(大正四年) 林学博士 白澤保美氏が曲阜から種子を持ち帰り 東京目黒の農商務省林業試験場で苗に仕立てたのが最初です。
カイノキは日本においても孔子廟や大学など教育機関の庭に、孔子の木、学問の木として植えられた。
苗は,各地の孔子廟等に配布され,現存するものでは,足利学校,湯島聖堂,閑谷学校,多久聖廟などが有名である。
備前市の閑谷学校の一対の木は,樹姿の見事さ,紅葉の美しさなどでよく知られている。

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