木、植物の知識を深めるサイト

7月ハス

7月ハス

平成28年度大阪府営公園6HGC合同研修会が大泉緑地公園で2016年6月25日(土)にあった。
研修会の講演は大泉緑地 花と緑の相談所 農学博士 寺田 孝重氏の「蓮の面白い話」。

ハスの糸(蘊絲(ぐうし))の話があり、実際にハスの葉の茎をカッタ―で周りに切り込みを入れ、引っ張ると細い細い糸状の繊維が現れた。
クモの糸みたいな透明感のある繊維に思わず感嘆の声があがった。

画像の説明

画像の説明

藕絲(ぐうし)とは蓮の茎から抜き出したクモの糸のような細い糸のことをいいます。
この糸を紡いで織ったものが「藕絲織」というそうです。

仏教を深く信仰する国ミャンマーでは、蓮が群生する広大な湖・インレー湖近辺で、今なお蓮の糸が紡がれています。

茎を折って引っ張ると出てくる、クモの糸のように細い糸をよりあわせて紡ぐその繊維は、すべてが熟練の手業によるもの。約1mの生地を織るにも、蓮の茎が一万本以上も必要だと言われるほど、かかる手間は実に膨大なのです。それでも、使い込むほどに柔らかくなる独特の風合いが素晴らしい蓮織物。主に高い位の僧侶がまとう法衣や袈裟としてお寺に奉納されているそうです。

この蓮の糸を使って織物を作っているところが日本にもありました。

静岡県富士宮の機織り工房「影山工房」です。
ミャンマーからハスの糸を輸入し、ハスの糸は強度が弱いため影山工房では経糸(たていと)も緹糸(よこいと)もハスの糸と絹糸を1本毎に交互に織り込んで作られています。
糸から織物にするのに3週間かかり、1㎏の糸から4枚のストールを作られ、1枚12万円するそうです。高価ですが着物にも洋装にも合うと人気があり、完売しているそうです。

他にも町田市知的障害者就労支援施設 大賀藕絲館(おおがぐうしかん)でも少し扱われています。

梅雨の開ける7月の初めに楽しむことのできる蓮(ハス)。
蓮が咲く頃とはすなわち、梅雨明けが迫り、炎天が広がりだす頃。
昼間の酷暑を避ける意味でも、少し早起きして、蓮の花見はいかがでしょうか。
最適な鑑賞時間は朝7時~9時頃だとのこと。
淡いピンクや白の凛とした蓮の姿は、見ていて心が落ち着き、背筋が伸びます。
このお花を見ると、夏が来たな~と感じることができますね。

画像の説明

画像の説明

蓮の名前は花からではなく、 花托の見た目に由来しています。
花托とは蓮の実のことで、花が咲いたあとにできます。
その花托の形が、丸くてたくさん穴があいていて、 アシナガバチの巣の形に似ていることから「蜂巣」と呼ばれていました。蜂巣からハスに転化したものです。
また、蓮の蓮根(レンコン)は土の中では枝分かれしながらも一本につながっています。
鉢の中でも数メートルにはなります。これが「連なる草」で「蓮」と名付けられたのでしょうか。

仏教では、生まれて間もないお釈迦様が歩いた足跡から蓮の花が咲いたと言われています。
その花の上で初めて「天上天下唯我独尊」という言葉を発したとされています。
そのような伝説から花ことばは 「神聖」や 「清らかな心」など。

ハスの開花音

古い文献にはハスの開花音についての記述があります。
川端康成短編小説で『朝ごとに上野の忍ばずの池では、蓮華の蕾が可憐な爆音を立てて花を開いた』。
また、石川啄木の詩にも「静けき朝音たてて白き蓮花のさくきぬ」。
正岡子規の句にも「蓮開く音聞く人か朝まだき」や「朝風にぱくりぱくりと蓮開く」などと詠われ、それらの印象から、ハスの花が音を立てて咲くと信じている人が今でもあるようです。

昭和10年7月23日,牧野富太郎や大賀一郎博士たち十数名が東京不忍池で実地検証を試みたが無音説に軍配があがったという事です。
千葉県検見川の1200年頃の地層から大賀一郎博士によって発掘された、種子から得られた大賀ハス(2000年ハス)で実証されています。
開花時の振動を500倍に増幅して測定しましたが、花弁の擦れ合う、ごくわずかな振動があるだけで、開花音ではないことが科学的に証明されたそうです。
ポンという開花音は、無いということです。

遠く昔には、「開花音を聞けば、悟りが開ける、地獄に堕ちず成仏できる」等の言い伝えがあります。
聞きたい!という願望から蓮は開花の時に音がすると言い伝えられてきたのかもしれません。

とはいっても、蓮の種類は食用のものやスイレンなどを合わせると100種類を超えるそうなので、中には音を鳴らして咲く種類の蓮もあるかもしれません。

ハスの花を歌った唱歌に『ひらいたひらいた』があります。
歌詞: 『ひらいたひらいた』

ひらいた ひらいた なんの花が ひらいた れんげの花が ひらいた
ひらいたと おもったら いつのまにか つぼんだ
つぼんだ つぼんだ なんの花が つぼんだ れんげの花が つぼんだ
つぼんだと おもったら いつのまにか ひらいた

ハスの花は歌のように 日中に花びらが開き午後になると閉じます。
これを3日繰り返して花の寿命は終わりです。
その花の命はわずか4日。

1日目は早朝より花弁が開き始めほんの少し開いたのち、つぼみの状態に戻ります。
2日目は、同じく早朝に咲きはじめ満開となり、香りを放ちながら最も美しい瞬間を迎えたのち、また半ば閉じてしまいます。
3日目は、2日目と同じく最大に開きますが、受粉を終えためしべは黒っぽくなり、花の色は若干退化。昼頃には閉じはじめます。
そして4日目…いったん3度目の全開を迎えたのち、はらはらと花弁が落ち、はかなくも散ってしまうのです。

睡蓮と蓮の見分け方
葉について
葉っぱです。睡蓮も蓮も葉は円形です。でもよく見るとちょっとちがいます。睡蓮は基本的に葉に切り込みが入りますが、蓮には入りません。
蓮の葉は多少の濃淡はあっても葉色は緑のみです。ただ蓮の葉には面白い特徴があって、なんと葉が防水加工のように水をはじきます。その為、昔の子供は蓮の葉を傘にして遊んでいたそうです。
蓮の立ち葉
最大の見分けポイントは蓮の「立ち葉」です。蓮は春先になると葉っぱを出し始めますが、まず「浮き葉」という葉が出てきます。
この状態がけっこう睡蓮と似ているので間違えやすいです。浮き葉は睡蓮と同じように水面に葉が展開しますが、蓮の葉は切り込みがなく円形なので、よく見れば違いがわかるはずです。浮き葉が水面を覆い尽くすといよいよ「立ち葉」の登場です。立ち葉は文字通り葉が立ちます。浮くんじゃなく水面に上がります。
この状態を見れば、もう誰が見ても蓮とわかります。睡蓮の葉はこんな風に上に上がりません!
花について
花の違いも葉と同じで、水面に咲くのが睡蓮。水面より上の方で咲くのが蓮です。

ロータス効果(生物摸倣)
泥沼に生えているハスの葉の表面はとてもきれいで、泥はもちろん、汚れひとつありません。ハスの葉は水を大変よくはじくため汚れがつきにくく、また汚れても簡単に雨水で洗い落とせてしまうのです。ハスやサトイモの葉っぱの表面に朝露などがきれいな水玉になっているのを見たことがあるでしょう。傘の替わりにもなりそうですね。
この水をはじくという性質は、実は葉っぱの表面に非常に小さいデコボコがあるためなのです。葉っぱの表面には大きさが数ミクロン(※)のデコボコがあり、さらにその表面にその数百分の一の突起がついていて、水玉がつぶれるのを防ぎます。ふつう我々が水をはじくようにするには、表面をつるつるにコーティングすることが多いのですが、これらの植物はまったく逆のことをしているのです。   ※1ミクロンは1ミリの1/1000

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional