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4月ソメイヨシノ

4月 ソメイヨシノ

佐保川のソメイヨシノ

桜はバラ科サクラ属サクラ亜属サクラ節に分類される。
日本にある桜は生物学的分類では10種の野生種に限られる。ヤマザクラとオオシマザクラ、エドヒガン、タカネザクラ、オオヤマザクラ、マメザクラ、チョウジザクラ、カスミザクラ、ミヤマザクラ、カンヒザクラ。
日本各地にさまざまな名前の桜があるのは、同じ種であっても地域ごとに呼び名が異なり、同種でもかたちが違う変種で別名がつけられています。
また、10種の桜をもとに自然、または人為的な交雑で生まれた雑種に園芸品種用の名前がつけられるなど現在400以上の品種がある。

これら全国に植栽されているサクラの中で約8割はソメイヨシノが占めている。
ソメイヨシノは本州から北海道の南部(道南)まで広く植えられている。
ただし、沖縄と、北海道の大部分の広い地域では育たない。

ソメイヨシノの栽培の歴史は新しく、江戸時代の末期に江戸の染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋が、始め「吉野」の名で売り出したものと伝えられている。その植木屋がどこかで偶然見つけてきて売り出したのか、それとも誰かがかけ合わせで作り出したのかははっきり分かっていない。
その起源には謎が多く、従来から様々な説があった。
明治時代に入ると分類学の発展に伴い、奈良・吉野のヤマザクラとの違いが明らかになり、1900年に「染井吉野」の和名が付いた。60年代には雑種だという学説が定着。95年に京都大の研究者らが全国で採取した個体の遺伝子を調べ、全て遺伝的に同じクローンだと分かった。

ソメイヨシノの起源は、母方がエドヒガンであることは知られていたが、父方は長く決着がついていなかった。日本の野生の桜は10種あり、うち4種は近縁のため遺伝子による親子鑑定が難しい。そこで森林総合研究所多摩森林科学園は、遺伝子の目印を複数組み合わせる手法を使い、2014年に父方がオオシマザクラだと突き止めた。ただ、他種が一部混ざっているという見方も残る。誕生の経緯も人工交配や偶然による受粉など諸説あり、詳しいルーツは謎のままだ。

ソメイヨシノについて韓国は、済州島などに自生している「エイシュウザクラ」が発祥だと主張してきたが、花のつき方などの形態や遺伝子を文献で調査、親子鑑定を実施により、母方はエドヒガンで同じだが、父方はオオヤマザクラで異なると判定し、韓国発祥説は否定された。

一本の突然変異種であったソメイヨシノが、あっという間に全国に広がったのは、いくつかの長所を持っていたからと考えられる。

1 ソメイヨシノは、緑の若葉が出る前に、木全体を覆うように淡紅白色の花をつけ、後から葉が開く。
花と葉がほぼ同時に開くものより、花だけが先に咲くほうが見ばえがする。
また、ソメイヨシノの花は少し大き目で、咲く時の花の個数が非常に多く、見た目が豪華です。1本の木に咲いている花の個数が10万個を超えることも珍しくない。
2 ソメイヨシノは成長が早い
成長が早くて10年も経てば立派な木になり、他の桜に比較すると若いうちから花を付ける。あっという間に成長して、花を咲かせる。それ故、自治体などが桜並木を作ろうと計画すると、すぐに成果が見えるメイヨシノが選ばれた。
3 ソメイヨシノはどこで植えても同じようにいっせいに咲く。
他の自生種のサクラで桜並木を作ったとすると、自生種の樹は個性をもっているので開花の時期もばらばらになる。ところがソメイヨシノはどの木も遺伝子が同じで均一の性質を持つため、一斉に咲いて散る演出をもたらす。
4 ソメイヨシノは接ぎ木がしやすい
自生種と違って、ソメイヨシノは自家不和合性でソメイヨシノの遺伝子をもった種はできない。したがって接ぎ木で増やすほかない。その接ぎ木が他品種とくらべてとても容易である。

これらの長所を持っていたため、染井吉野は明治に入ってから、全国の城跡や公園、学校、道路や川沿いなどに植えられ、急速に普及していった。

クローンといえば、あまり良い印象をもたないかもしれませんが、ソメイヨシノは、遺伝子が同じで均一の性質を持ちます。
ソメイヨシノという栽培品種は、自然に増えることができません。
種子で増やすと親の形質を必ずしも子に伝わることがないため、ソメイヨシノというすぐれた形質を残し増やす方法は、接木もしくは挿し木などの栄養繁殖の方法しかなく、結果クローンとなります。

ソメイヨシノは、人の手を介さない(接木などで増殖)と生存することが出来ない品種だといえます。美しい花を咲かせ、たくみに人々の心をとらえた結果、人と共存の道を選んだ桜なのでしょう。百年もほっておくとソメイヨシノはこの世からなくなってしまうのです。

ソメイヨシノは不稔性との誤った記述を見かけます。必ずしも種子が出来ないことはなく、ソメイヨシノ以外の桜の種、品種が近くにあった場合、よく実ります。これは、桜の自家不和合性というもので、同一固体(自身)の花粉で受粉しないシステムです。

クローンであるソメイヨシノはすべての花が同じものとなるのでソメイヨシノばかりだと受粉することがないわけです。
では、ソメイヨシノとそれ以外の桜を植栽すれば、全てのソメイヨシノが結実するかといえばそういうわけにいかず、同じ時期に開花する他の桜とソメイヨシノを並べて植えても真横にあったものでも結実せず少し離れた場所のソメイヨシノが見間違うほど種子をならせる場合があるなど一概には言えません。
結実にはポリネーター(花粉媒介者)の存在やソメイヨシノがそもそももつ不稔性花の発現数によるものと考えられますが、ソメイヨシノが不稔性だとするのは間違いです。
ちなみにソメイヨシノの種子から出来た桜はもうソメイヨシノではありません。

毎年、桜前線が発表されます。クローン植物なるがゆえに、どの木も遺伝子が同じで均一な性質なので条件が整えば一斉に開花し、散る演出をもたらします。
また、言い換えれば、世界でも類を見ない、全国津々浦々に配した生物気象観測レーダーとも言える。
開花の様子から、春の訪れが例年より早いかなどを正確に把握できる。
開花時期を示す桜前線は、地球温暖化の影響など気象変動の理解にも役立っている。
最近、異常に開花が早い年があり、地球温暖化の影響か?と危惧されます。

ソメイヨシノは短命
良いことずくめのように見えるソメイヨシノだが、その寿命は60年から長くて100年、寿命が短い桜だと言われる。
今、全国の桜の名所で花見客が眼にしているソメイヨシノは、ある時期になると一斉に寿命を終えてしまう可能性がある。
ソメイヨシノは実をほとんどつけません。エドヒガンとオオシマザクラを掛け合わせても、ソメイヨシノが誕生するとは限りません。
では、同じ形質をもったソメイヨシノの苗はどのようにして増やしているか。
全部、接ぎ木苗を育てて植えます。クローンを作っているのです。ソメイヨシノは命をつなぐ方法を人に委ねていると言えるでしょう。人との共存を選んだソメイヨシノは、人の手による、また、新たな新天地をまっています。

一方、クローンの弱点として、1つの病虫害が一気に大流行しかねない怖さがある。
ソメイヨシノは、小枝が密集し開花時期に葉が目立ってしまう「てんぐ巣病」という感染症にかかりやすい。
ソメイヨシノは近年、外来種のクビアカツヤカミキリによる被害が拡大。幼虫が幹の内部を食い荒らし突然、枯れてしまう。原産地の中国などから貨物に紛れて侵入したとみられ、環境省が特定外来生物に指定した。
枝にこぶができる異変も新たに見つかり、枝を切る対策が始まっている。原因は不明で今後、深刻化する可能性もある。

ソメイヨシノの木は1個の芽から咲く花の個数により、健康状態を知ることができます。
1つの芽から6個の花が咲くと、とても健康な木、4~5個では、健康な木、3個以下なら元気のない木と評価されます。
ソメイヨシノの名所では、通常3~4個の場合が多く見られますが、木の世話が行き届いているソメイヨシノは、4~5個、場合によっては、6個の花を咲かせることもあります

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