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4月オガタマノキ

4月 オガタマノキ

日本で見られるモクレンの仲間では唯一の常緑樹で、本州の千葉南部より西、四国、九州、南西諸島から台湾にかけて分布する。
比較的温暖な気候の山野に自生し、高さ15~20mほどになる。樹形は壮大で半球形になる。
街中では神社の境内や公園でときおり見られる。
移植や繁殖が難しいため現在では庭木としての流通はほとんどない。
樹皮は暗褐色。枝は暗緑色。褐色の伏毛があるか無毛。托葉痕が枝を一周する。

葉は互生し、葉身は長さ5〜12cm、幅2〜4cmの長楕円形で、全縁。表面は深緑色で光沢があり、裏面は白色を帯びる。葉柄は長さ2〜3cmで有毛。フチがゆるく波打ちます。

花期は3〜4月。直径約3cmの香りのある帯黄白色の花が葉腋に1個ずつつく。
花被片は普通12個あり、全て花弁状。花被片は基部が紅色を帯びる。
枝葉に隠れるように開花するため、あまり目立たない。

(雌雄異株なので雌株は少ない)

果実は袋果が集まった集合果。長さ5〜10cmのブドウの房状で、9〜10月に熟す。1個の袋果に種子が2〜3個入っている。ぼこぼこした果実は、秋に熟すと裂け目が入り、中から赤い種子が顔を出す。

この果実がはぜて中の真っ赤な種子が見える姿より、神楽鈴が考え出されたと伝えられる。
また昔、この実をかたどって「おがたま饅頭」として売り出した商売人がいたそうです。
現在ではこのお饅頭は延岡の郷土菓子「やぶれまんじゅう」として伝わり、親しまれています。

オガタマノキの壮大な姿は、神聖な木と呼ばれるにふさわしい霊験性を感じます。
実際に、玉串や御神木として昔から使われてきました。
オガタマノキ(招霊の木)の由来は、枝葉を神前に供えて霊を呼ぶ神道思想の招霊(オギタマ)の転訛、この枝を神前に供えて心霊を招きたてまつることから。
他にも「香り」という意味の「オカ」と、種子の形が球状=「タマ」を合わせた「オガタマ(小香玉)」や、オガミタマ(拝魂)の転訛など諸説あるようです。
「小賀玉木」や「御賀玉木」「小賀玉榊」「小賀玉木蓮」「御賀玉樹」など呼称の多いのも特徴です。
別名は、トキワコブシ、ダイシコウ。
ちなみに、学名のMichelia compressaのMichelia(ミケリア)は、19世紀のスイスの植物学者「Micheli 」の名前にちなみます。

日本神話においては天照大神の天岩戸隠れにおいて天岩戸の前で舞った天鈿女命(アメノウズメノミコト)が手にしていたとされ、古くには榊などとともに神前に供える木として用いられました。このことから地方に於いては、真榊とも言います。
本来、榊(サカキ)として神にまつる木は、オガタマ・サカキ・ヒサカキ・シキミなどが上げられますが、霊魂を招く依り代の木だから、本来はオガタマノキが榊(サカキ)として神にまつる木だったようです。

常陸宮正仁親王のお印であり、自治体においては宮崎県高千穂町などが町のシンボルとしています。

1円硬貨に施されている木の図案は招霊(おがたま)の木だと言われています。

この木の葉を、珍蝶ミカドアゲハの幼虫が食べます。
成虫はアゲハチョウに似ています。
オガタマノキの周りを回るアゲハチョウに似た蝶がいたら、それはミカドアゲハかもしれません。
この蝶の発見者であるL.H.リーチ氏が明治天皇に献名したことからこの名が付けられたそうです。

日本でよく園芸用として育てられるのは、中国原産の「カラタネオガタマ」です。バナナの香りがする花ということでも知られています。これはオガタマノキとは別種になります。

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