2月柊
2月 柊
2月といえば立春、立春は寒さの底、名ばかりの春でも気持ちが少し和らぎます。
立春の前日は節分。
節分といえば豆まきですがヒイラギを使った焼嗅(やいかがし)という風習もあります。
柊鰯(ひいらぎいわし)ともいわれます。柊の枝に鰯の頭を刺したものを戸口に立てて、鬼を追い払う風習です。
柊の葉っぱは堅くて縁が刺状のギザギザがあります。ギザギザした葉の刺が鬼の目を刺すと言われ、古くから魔除けとして鬼門に植えられました。
またイワシを焼く臭いと煙が鬼を近づけないとも言われておりました。
そこで、鬼が来る節分にイワシの頭を焼いたものを柊の枝に刺して戸口に立て鬼を追い払ったと言われます。
オニサシ、オニノメツキ、オニオドシ等の地方名はこの風習が広く行われた証しでしょう。
鬼とは災害や病気ことで、それらを祓うということです。
我が家でも20年ぐらい前までは行っていました。
奈良市奈良町の民家では今でも見られます。
ヒイラギは関東より西から台湾など比較的温暖な地域に分布する常緑の樹木です。
葉は縁にトゲ状のギザギザがあり厚めで革質、濃緑色で表面にはツヤツヤとした光沢があります。
この触ると痛いトゲが特徴ですが、老木になるとトゲの無いのっぺりした葉が出てきます。
年を取ると丸くなるたとえですがなかなか人間、丸くなるのは難しいものです。
11月ぐらいに小さな白い花を葉の付け根に固まって咲かせます。
花の咲いた形はキンモクセイに似ており、芳香もあり木犀の仲間です。
この「柊の花」は冬の季語であり、木偏に冬のヒイラギは冬の厳寒時にふさわしい木なのかもしれません。
名前の由来は葉の縁のトゲ状のギザギザに触れると痛いので、ずきずき痛む、うずくという意味のひひらぐからひひらぐ木、これが転じて[ヒイラギ]となりました。
漢字では[柊]と書くのが一般的ですが、痛む・うずくという意味の[疼]の字をあてた「疼木」もあります。
ヒイラギを「カザグルマ」と呼ぶこともあります、これは手の親指と中指の先で葉の刺をはさんで息を吹きかけると葉が風車のようにくるくる回る遊びに由来します。