2月ウメ
2月 梅
梅は探梅。
梅は寒さ極まる時節、百花にさきがけて咲く。
どの花よりも一足先の春の訪れを山野に探すのが探梅。
「梅一輪 一輪ほどの温かさ」(服部嵐雪句)梅一輪に春を求め、いとおしむ。
だから冬の季語。立春が過ぎると探梅から観梅に変わる。
また、梅には清楚な香りがある。
古今和歌集に「春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる」。
清らかな香りによって闇が花を見えなくしても梅の花が咲いていることが知られる。
梅は中国四川省あたりの高地が原産で、我が国に渡来したのは8世紀ごろ。
宮廷人はその清雅な姿、花、香りに魅せられ、広く普及した。
梅の花の香りを酒に移して飲むのが当時の風流な遊びだったらしい。
梅は人々に愛され、万葉集には118首が詠まれ、桜の41首をしのぐ。
また、梅は学問の神様の天神様のシンボルとなっている。梅に春(合格)を祈願するのは、入試の時期と梅の花の持つ凛とした雰囲気がそうさせるのか。
合格発表は春で桜咲くはでき過ぎか。
梅に鶯
梅の満開の頃、ウグイスの声を聞くと本当に春が来たなと実感できる。
しかし、ウグイスは薮やしげみの中で暮らすことが多く、姿を見せることの少ない小鳥です。また、主な食べ物は昆虫等で花の蜜は吸うことはない。
メジロは花の蜜を良く吸うため、梅、ツバキ、サザンカの木に飛来する。
咲いている梅の木によく止まっているのはメジロと思われる。
(京都の庭で鶯が梅の木でさえずっていたのを実際見たことはありますが)
メジロの姿はウグイス色でメジロとウグイスを混同している人も多く見かけます。
しかし、メジロは目の周りが白いので容易に違いがわかる。
「ウメにメジロ」より「ウメにウグイス」の方が語呂合わせが良く、ウグイスのさえずりが春らしいので広まったのか。
「松に鶴」「柳に燕」「紅葉に鹿」等の語呂合わせもあるが正確な意味は曖昧である。
梅の開花条件
梅は寒い中に開花時期を迎えるため、その年の条件によって開花の時期が大きく作用される。梅の開花は早い年は1月下旬、遅い年は4月と、他の果樹に比べて変動が大きい。
特に12月下旬の気温に大きく影響される。一般的には気温が高く、適度に湿度があって、日照が多いと開花は早まる。
花が早く咲くと、果実の実りは悪いとされる。
理由として
1. 梅が早く咲く時期はミツバチなどの花粉を運ぶ昆虫が少ない。
2. 早く咲いた梅の花は雌蕊や雄蕊の発育不全が多く、受粉しにくい。
また、暖冬の年も花の成長が早すぎるため、雄蕊と雌蕊の成長のバランスが崩れて、受粉がうまくいかない。
梅の実
梅の果実は人々の日常生活と深くかかわり、梅干し、梅酢、梅酒など日本特有の嗜好食品が数多く作られている。
梅干し(梅の実を塩漬けし、天日で乾した物)
梅酢(梅の実を塩漬けした時にできる汁)
梅酒(梅の実を氷砂糖と合わせて焼酎に漬けたもの)
烏梅(未熟果を煙で黒く薫製した物)
梅肉エキス(青梅をすりおろし、布で搾り、煮詰めたもの)
未熟な果実の種子の仁には、青酸を生成する青酸配糖体のアミグダリンがあり、食べるとけいれん、呼吸麻痺等の激しい中毒を起こす場合がある。
梅の名前の由来
1. 中国語の「梅」=マイまたはメイがムメとなりウメに転化した。
2. 薬として中国からはいってきた烏梅(うばい)がウメイ、ウメと転訛した。
3. 「うみむ(熟実)」の約転。
4. 梅の薬効からU=見たことのない+me(本当に大切な) でウメ。
と諸説あります。
梅雨(つゆ)は梅が実るときに雨が多いからで梅に母の字を含むのは中国ではつわりの時、梅の実を食べる習慣からきているそうです。
梅とことわざ
梅がまつわる諺(ことわざ)や言い伝えはたくさんあります。
塩梅
花も実もある
梅はその日の難逃れ
梅根性に柿根性
松竹梅
梅木学問
くわしくは「なんでも梅学」http://minabe.net/gaku/bungaku/kotowaza.htmlで