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12月ラクウショウ

12月 ラクウショウ

スギ科で、3樹種のみの小さなヌマスギ属に属する針葉樹の落葉高木で、日本では樹高20メール、直径70センチ程度、海外では樹高50メートル、直径3メートルに達する。
現在、ラクウショウは日本には自生していないが、日本列島では中生代(2億5200万年前~6600万年前)から新生代の古第三紀・新第三紀((6600万年前~259万年前)にかけての化石として多く発見されている。また、九州や北海道で産出される石炭の多くはラクウショウと同じヌマスギ属の化石といわれている。
「生きた化石」として名高いメタセコイア(メタセコイア属)とヌマスギ属は近縁で、古くから栄え、中生代のジュラ紀(2億100万年前~1億4500万年前)から白亜紀(1億4500万年前~6600万年前)の恐竜の時代の地層から世界各地で化石が多く出土している。

北米東南部の海岸地方からメキシコ湾に臨む地方で、特にミシシッピ河の下流湿地地帯に多く分布する。湿地を好んで生育し、寿命が長く(600年~1200年)、アメリカに分布する樹木のうちでも長寿に入る。

別名のヌマスギは、湿潤な沼地や川辺などに生育できるため付けられた。
ラクウシヨウは膝根(しっこん)と呼ばれる、こん棒の様な円錐形の呼吸根を地中や地面から出して呼吸しており、根元が水没しても呼吸できる。
膝根は、水平に広がる根の上側の形成層で、局所的に活発な分裂組織によって、土壌表層近くで形成される。膝根の役割は根に酸素を送ることである。
膝根は海外では大きいものは高さ2メートル、径30センチにもなり、特異な景観をつくる。また、ラクウショウの幹の地際部分は不ぞろいに太り、根張りがあり、板根状になる。樹幹下部の肥大による凹凸は酸素の取り込みに関与していると考えられている。

ラクウショウの枝には腋芽を有する宿存性の長枝と、腋芽がなく脱落性の側枝の2型がある。枝の先端から伸びた長枝には、小さな針形の葉がらせん状につく。 
側枝は枝の中部や下部から10センチほど伸び、線形の葉を羽状複葉のように多数つけ、秋には1枚の葉のように側枝ごとに落ちる。
ラウクショウの名前の由来は、細かい葉がびっしりと水平に並んでつく枝を鳥の羽に見立て、枝ごと葉が落ちる様子から「落羽松」と名づけられた。

ラクウショウは針葉樹であるが、カラマツやメタセコイアと同様、秋に全葉が落葉する。
メタセコイアの葉も、スギの仲間にしては柔らかいのですが、このラクウショウはもう繊細の一言です。
ラクウショウも、メタセコイアと同じように、秋になると 短枝ごと 葉をちらす。 ちがうのは、葉の付き方。メタセコイアは 必ず2つずつ 組になって(対生) ついているが、ラクウショウの葉と短枝は、たがいちがいにつきます(互生)。
ぺたんと 押し葉をしたようなメタセコイアの葉に比べて、ラクウショウの葉は、少し閉じた形のまま 短枝に付くという違いがあります。
何でも きちんと おぎょうぎ良く 並んでいるメタセコイアとちがって、ラクウショウは、葉がてんでに勝手な方向をむいているので、樹形を写真にとった時の 影の出来方が 複雑で魅力的です。 

4月頃、若葉に先立って枝先に雄花と雌花をつけます。雌花は緑色で、枝の先端に数個つきますが、葉に隠れて目立ちません。7月頃には2~3センチのごつごつした実(球果)になり、樹脂をたっぷりと含んでいるこの実は、秋にはくだけてバラバラになります。

現在、日本で植栽されているラクウショウは明治時代に渡来したと考えられる。
ラクウショウは普通の土壌にも適応でき、通気性の良い土壌では根元は肥大せず、膝根も発達しない。
水平根が発達して根上がりがしにくく、風に強いので本州、四国や九州の庭園や公園に植栽される。

ラクウショウは地中・水中での耐久性が高いため、古くから土木、建築で耐久性を必要とするものに多く用いられてきた。しかも、材は軽く軟らかで、切削その他の加工は容易で仕上面も良好である。収縮が小さく、狂いは少ないので、家の壁材など各種建築用としての評価も高い。

福岡県篠栗町の篠栗九大の森のラクウショウの風景画像が「まるでジブリの世界」としてSNSで話題となっている。

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