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12月セコイヤ

12月 セコイヤ

世界でもっとも高い樹木で、高さ約100メートル以上、根元は径8.5メートルに達し、円錐形の美しい樹形をつくる。

2006年の8月まで、世界一高い木は米国カリフォルニア州のハンボルト・ レッドウッド州立公園にあるセコイア「ストラトスフェア・ジャイアント(成層圏の巨人)」といわれてきた。
しかし、2006年に自然愛好家のクリス・アトキンス氏とマイケル・テイラー氏がカリフォルニア州のレッドウッド国立公園で、「ストラトスフェア・ジャイアント」の高さを超える木を3本見つけた。
3本の木の中でも一番高かった木は「ハイペリオン」と名付けられた。世界記録を破ったハイペリオンの高さは「ジャイアント」よりも3m以上高い、115.55mであった。

世界一高い木となった「ハイペリオン」が、この木が現在まで生存している事は、ほぼ奇跡に近い。実は、この一帯は70年代にほぼ伐採され尽くされており、ハイペリオンが生息する100メートル先あたりの木はすべて切り倒され、一帯は荒涼となっていた。
ハイペリオンやその周囲が採伐される数週間前に、この辺り一帯は国立公園に認定され、ハイペリオンは伐採の危機を逃れることができた。
しかし、全体的に見るとセコイアの木はほとんど切り倒され、1970年代で15%、そして現在では4%しか残っていないという。
木の樹齢は人間の寿命よりずっと長い。ハイペリオンは樹齢600年のまだ若い木でこれからまだ成長する可能性もある。
ハイペリオンの正確な所在地は公表されていないが、これは、世界一高い木を見ようと群がってくる観光客から木を守るためである。

日本の植物園ではセンペルセコイアとも呼ばれている。
スギ科セコイア属の常緑針葉樹。セコイア属はセコイアメスギのみの1属1種。
別名、セコイアメスギ、イチイモドキともいい、アメリカでは樹皮が赤っぽいのでレッドウッドと呼ばれる。
学名:Sequoia sempervirens 、日本では幕末から明治期に活躍した植物学者・田中芳男氏が命名した『世界翁雌杉(セコイアメスギ)』という漢字が使われます。まさにその実像を端的に現わした命名でそのイマジネーションには感動すら覚えます。

中生代白亜紀から新生代中新世にかけて地球上に繁茂していたと考えられる植物で、現在アメリカ太平洋岸のオレゴン州南西部からカリフォルニア州モンテレー地方まで、長さ約800キロメートル、幅600キロメートルにわたって天然分布している。主として、海岸寄りの海抜700~1000メートルの山地に自生する。
この地域の年降水量は1,500~2,000mmと比較的多いが、その大部分は冬期に降り、成長期間である夏期には40~50mmと極めて少ない。それにもかかわらず、このような森林が形成されるのは近くを流れるフンボルト海流により霧が多く発生し、この期間(6~9月)には300mmに相当する水分が供給されることによることが大きいとされている。

レッドウッドの中でも特に樹高が高いものは川沿いに多く見られる。その原因として洪水による影響が考えられている。それは定期的にといってよいほどに訪れる洪水によってもたらされる堆積物の中の栄養分をうまく利用していることや数10cmから1m以上に達する堆積(シルト層)の中に新しい根を形成して成長していくことのできることなどがあげられている。

また、レッドウッドは山火事にもうまく適応している。レッドウッドの樹皮は厚く数10cmにもなり、水分が多く成分も燃えにくいものが多いため、幹の木材部は燃えても形成層を含む樹皮部が生き残ることが多い。
他の多くの樹種は山火事で焼失することが多く、生き残ることができても洪水に弱いとされている。この点、レッドウッドは山火事にも洪水にも強い樹種ということができる。

更新についてみてもレッドウッドは山火事や洪水で邪魔物がなくなった林床をうまく利用し種子の発芽を行っている。しかし、それでもせっかく発芽し稚苗になったものが2年後には95%が失われてしまうという。

レッドウッドのもう一つの特性は萌芽力の強いことである。幹、特に根元に近いところで萌芽しているものがよくみられる。幹が何らかの原因で倒れても地際付近の萌芽が成長して成木となることができる。また、倒れた幹に形成された萌芽でもうまく根を地中に伸ばすことのできたものは、やがて成木となることができる。こうしたことから、レッドウッドは回復力の強い樹種といわれている。

樹皮は赤褐色、繊維質で厚く、細長く縦に裂ける。切り株や樹肌からよく萌芽する性質がある。
枝はやや細く、輪生状に密生し、水平またはやや下垂し、光沢がある。
葉は互生し、線状披針形で長さ約2センチメートル、表面は暗緑色、裏面の中央脈の左右に白色の気孔線が2本ある。
雌雄同株。4~5月に開花する。雄花は小さく、小枝の先端につく。雌花は14~20個の鱗片に覆われ、頂生する。
球果は卵形で長さ1.5~2.5センチメートル、径1.2~1.8センチメートル、10~11月に黒褐色に熟す。果柄は鱗片葉からなる。果鱗は15~25片あり、圧扁四辺形をなす。種子は楕円形で長さ5ミリメートル、幅4ミリメートル、両側に狭い翼がある。

材は、辺材は淡橙色、心材は深褐赤色をなし、木目が美しい。また軽く、割裂性が高く、工作が容易で狂いも少ないため、建築、器具、土木用材などに利用された。

日本でも至る所で本種の化石が出ている。
また、関東地方以西の暖地の公園や庭園に植栽したものはよく生育し、現在最大のものは高さ45メートル、径1.4メートルに達する。

セコイアの名前の由来は、この地の先住民族であるチェロキー族の酋長の孫にあたり、チェロキー族の文化を記録するためのチェロキー族文字を発明した指導者・セクオヤの英語読みだという事です。
この不思議な名前『セコイア』には、巨木への深い畏敬の念が込められているのです。
彼ら先住民は、この巨大な木を崇拝し、立ち木を傷つける事は決してなく、落雷したセコイアの木の幹を火で焼いたり、石斧などで加工して使ったそうです。
また、彼らはこの木の若葉を温めた湿布で痛み止めとしたり、樹液を強壮剤として水と一緒に飲んだり、樹皮の内皮を煎じて黄疸の治療や血液の浄化などにも使ったと伝えられています。彼らチェロキー族は残念ながら絶滅してしまいましたが、現代にまで継承される語り部には、この巨樹を「バランスを取って成長する平和な巨人」と称しています。

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