木、植物の知識を深めるサイト

12月スギ

12月スギ

スギは日本を代表する針葉樹で、林業樹種としていちばん多く植林されている。
各地の神社・仏閣などに植えられ、銘木や巨樹として天然記念物の指定されているものも多く、台スギとして庭園にも植えられる。

スギは常緑高木で幹はまっすぐ伸びる。樹皮は赤褐色または暗赤褐色で縦に裂け細長い薄片となって剥がれる。
葉は鎌型にやや湾曲した針状で、枝にらせん状に着き、長さ0.4~1.2cmで小枝ごと枯れて落ちる。
花は雄花と雌花があり、同じ株に付く。雄花は小枝の先に集まり、長楕円形の雄花群を作る。

雄花は大量に花粉を散布するので、スギ林から吹く風が黄色に見えることがある。
毎年早春になるとスギを植え過ぎたことが花粉症の原因として話題になりますが植え過ぎたことより育ったスギを使わないことが原因で問題です。
今最も利用しなければいけないのはなんといってもスギです。

スギは日本固有の木で北は函館から南は屋久島まで幅広く分布し生長が速いので戦後最も多く植林された木です。

古くからスギは、私たち日本人の生活に欠かせない身近な木として重宝されてきました。
材は柱や板に、樹皮は屋根に、そして葉は線香にと、無駄なく活用されてきました。

特に水を吸うと材は膨張し、防水性に優れるので、船舶や桶、樽などに重用されました。日本酒の醸造とは密接な関係があり、杉樽や杉玉は有名です。

しかし、杉を建築用材として使うには、製材してからきちんと乾燥させる必要がありますが、水分を多く含む杉の乾燥は難しく、利用上の課題となっています。
性質としては、細胞の空隙が比較的多いため、非常が小さく、軽く、やわらかで加工がしやすいのが特徴です。
熱伝導率が低く断熱性に優れているので最近ではフローリング材としての活用も増加し、梁や桁にも活用されつつあります。

また、杉には多くの地方品種があり、それぞれの品種によって性質は少しずつ異なり、用途も違います。
秋田杉(秋田県)、山武杉(千葉県)、天竜杉(愛知県・静岡県)、立山杉(富山県)、北山杉(京都市)、熊野杉(和歌山県・三重県)、吉野杉(奈良県)、春日杉(奈良県)、相生杉(徳島県)、魚簗瀬杉(高知県)、日田杉(大分県)、飫肥杉(宮崎県)、霧島杉(鹿児島県)、屋久杉(鹿児島県)、神代杉等

花粉アレルギーで嫌われるスギですが意外なことに、広葉樹より針葉樹の方が二酸化炭素吸収量が多いとされています。
スギとブナとの比較ではスギはブナの1.9倍の二酸化炭素を吸収すると言われています。
それはスギなどの針葉樹の方が、若齢期の成長速度が速く、総じて成長力が旺盛であるという特性からです。

スギの語源の由来

スサノウノミコトが有用な樹木を創り出し、その用途を定めている。
なかでも重要な木がヒノキでこれを宮殿に用い、次いでスギの木を船舶に用いた。
ヒノキは「日の木」に由来し、スギはヒノキに次ぐ良材として「月の木」に由来する。
このツキが同名である「槻」との間で混乱が生じることからツキ→スキと変化し、ツキノキ→スキノキ→スキギ→スギと転訛した。

牧野新日本植物図鑑にはスギは幹が直立していることによる。
すなわち、す(直)き(木)、又すくすくと立つの意味とも言われこの(すぐき(直木))が定説と見られている。

杉玉

杉玉とは杉の葉(穂先)を集めてボール状にした造形物で酒林(さかばやし)とか久寿玉(くすだま)と呼ばれる。

杉玉は古代から酒の神様に感謝を捧げるもので酒蔵の入り口に掛けるお守りの事でした。
杜氏(とうじ)の人たちの無病息災とお酒が無事に完成することを願って蔵の入り口に飾りました。
昔は蔵元と杜氏は分業で、蔵元が原料となる米を手配し、杜氏が酒を仕込むことでお酒を作っていました。
現代と違って、温度管理や衛生状態があまり良くなかった頃の酒造りは火落菌(ひおちきん)によってお酒がダメになることが多くありました。
蔵元から預かった大切なお米がダメになると莫大な損失となるため杜氏たちは祈るような気持ちで杉玉を蔵の入り口に飾ったそうです。

杉を使う理由としては杉の木に殺菌作用があることと酒の神を祀る奈良の三輪神社の御神体が杉であり、古代から神聖なものとして扱われてきたからだと伝えられています。

昔は杉玉の交換は新年を迎えるにあたって新しく掛け替えていました。

現代では軒先に緑の杉玉を吊るすことで新酒ができた時の目印として掛け替えるようになりました。
9月末にお米を収穫、10月頭に醸造元で仕込みはじめるので11月末から新酒ができます。新酒ができる時期に合わせて毎年杉玉を交換します。

お酒造り、搾り作業が終わるのは3月。搾ったお酒はそのまま出荷するものとタンクに貯蔵するものがあります。

貯蔵した日本酒が春・夏と過ぎ、熟してきてまろやかになったお酒の事を「ひやおろし(秋あがり)」といいます。

ひやおろしが出てくる季節には杉玉は枯れて茶色です。杉玉の色の変化で日本酒の「旬」を感じることができます。

御所市油長酒造

御所市油長酒造*

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional