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12月カイズカイブキ

12月 カイズカイブキ

カイズカイブキは公園や道路の分離帯街、庭木や生け垣などによく植栽されている樹木です。
しかし、「カイヅカイブキ」という名前を植物図鑑で探しても出て来ないことが多い。
実は、カイズカイブキという名は、造園関係の本には頻繁に出るものの、本格的な植物図鑑ではビャクシン、あるいはイブキとして記載されているのがふつうです。

ビャクシンの葉は二つの形があります。
ふつうに見かけるものは、細くて丸いヒモ状のもので、これは細い枝にウロコ状の葉(鱗片葉)がびっしりと十字対生したものです。
木が老木になったり、強い刈り込みを受けますと形の全く違う、緑白色の針状の葉を3枚輪生、または十字対生させた枝が出てきます
ビャクシンは葉が針のように細くとがっていますが、カイヅカイブキは丸みのあるうろこ状になります。

カイズカイブキは常にこの鱗片状の葉を付けるものが選抜されたものです。
性質の丈夫さと用途の広さで幅広く普及している針葉樹で、日当たりの良い場所で育つ陽樹です。
枝は太く、立ち上がってそのワキから出る側枝が螺旋状にねじれながら伸びていき、枝の先端が揺らめく火炎のような形になります。
このような天に向かって火炎状に勢いよく葉を茂らせた木の姿はゴッホの絵画の糸杉を連想させます。

刈り込みにも強く、自然の円錐状の樹形以外にも刈り込んで円筒状や球形にしたり、生け垣にしたりと様々な楽しみ方ができます。
また、大気汚染や乾燥、潮風にとても強いので、公園や道路の分離帯などにも利用されています。

漢字では『貝塚伊吹』と表わします。和名の『伊吹』は、滋賀と岐阜の県境にある伊吹山に産するビャクシン(柏槇)という意味だというのが定説です。
また、その音から類推して、古代に土器の底の穴にこの木の枝葉を敷いて食物を蒸したので、湯気を吹く木から、息吹き木(イブキギ)とされ、その後末尾のギは省略されたと言う説もあります。

全国各地に存在する「伊吹」という町名も多く、このイブキに由来しています。
愛媛県でも四国中央市の下柏町や宇和島市伊吹町には、イブキの国指定天然記念物があり、その地名もその大木に由来しているようです。下柏というのは、イブキの別名ビャクシンの漢字名「柏槇」からきていると思われます。同じように各地にイブキの巨木、あるいはイブキの群生があったことが地名に結びついたものと思われます。

『貝塚』という言葉は、大阪の貝塚市に因んでいるという説もありますが、その貝塚市そのものからして地名の由来が明らかにされていません。
貝塚といえば本来は、食料などに使った貝殻の塚というのが一般的なのですが、いまだ貝塚市においては貝塚遺跡も発見されてもいないので、地名の由来も謎なのです。

ビャクシン
ビャクシンはヒノキ科の常緑高木である。陽樹で十分な日照を要求し、日陰を嫌う。成長はやや遅い。昔から庭木として賞用され、特に神社に多く植栽されている。盆栽にもよく使われる。
太い枝が多く、密生して斜上し、鋭く尖った不規則な円錐形の樹冠をつくる。幹は捻れる性質がある。樹皮は赤褐色で、縦裂し薄片になって剥がれる。樹勢は強く、幹が腐朽し、空洞化しても生きている。
樹高15~20メートル、直径50センチに、時には25メートル、直径2メートルに達する。寿命は長く、寺社などでは樹齢1000年を超えるものもある。
ビャクシンは、本州・四国や九州の沿岸地に点々と分布する。
特に、本州の太平洋岸と瀬戸内海地方に多く、岩の上や時には石灰岩の上でも生育する。北限は青森県津軽半島、南限は大分県の大入島(おおにゅうじま)である。
葉はヒノキのような鱗片状のものとスギのような針葉状が混じっている。鱗片葉は十字対生である。
4月に開花し雌雄異株、まれに同株もある。鱗片葉をもつ枝の先端に、楕円形で褐色の雄花と球形の雌花をつける。風媒花(花粉を風で飛ばす)で、翌年の10月に紫黒色の球果(直径6~8ミリ)が成熟し、白いロウをつける。
球果は2から3対の鱗片が多肉になって合着し、中に3~4個の光沢のある褐色の種子をもつ。
ビャクシン類は挿し木が容易である。
しかし、ナシのサビ病(赤星病菌)の中間宿主になるので、ナシ生産地域ではその植栽に注意する。

ビャクシンの辺材と心材との区分は明確で、心材は暗紅褐色、均一で重硬・緻密で良い匂いがあり、耐朽性が高い。量的には少ないが、建築材(床柱)、器具材、家具材、彫刻材、寄木細工などに賞用される。

ビャクシン類には香りの良いものが多く、世界中でその葉が神事や祭事に使われている。特に、材中にはトロポロン化合物を含み、抗菌、殺虫、殺ダニなど、多岐にわたる生理活性、いわゆるフィトンチッドをもっている。

ビャクシンは異なった環境に長い間生育している間に、形質等に変化が生じ自然変種がいくつかある。

ハイビャクシン(ソレナ)
ビャクシンの自然変種で、低木である。長崎県の対馬・壱岐や福岡県の沖島の海岸に群生している。幹や枝が地面をはう。樹皮は赤褐色で、葉はほとんどが長さ6~8ミリの針葉形で、三輪生、あるいは十字対生である。
観賞用として庭園の斜面に這うように植える。陽樹で、やや乾燥ぎみの、排水のよい肥沃地をこのむ。石灰質の土地や砂地でも育つ。大気汚染や潮害に強い。別名のソナレは、磯馴れで海岸に生える様を表している。

ミヤマビャクシン(シンパク)
ビャクシンの自然変種で、低木である。北海道~四国・九州の高山や海岸の岩石地などに見られ、幹が地面をはう性質をもつ。ミヤマビャクシンの盆栽は、特にシンパク(槙柏)と呼ばれる。庭にも植栽される。
海風、耐寒性に強い。幹は匍匐し、著しく屈曲する。よく分枝し、密に茂る。樹高50センチ程度で枝張りは4メートルもある。陽樹で、樹勢は比較的強健、十分な日照を要求する。砂地や山腹の土砂固定に適している。

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