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1月松

1月 松

日本では昔から親しまれている樹木で、歌舞(うたまい)で謳われたり(うた)、伝統芸の道具立てに使われている。

松は常磐木であり、四季を通じてその色の変わらぬところから、慶賀の木とされた。
高木ともなれば30Mを越え、幹が天空にそびえたつ姿は崇高である。
マツの生育地は貧養地でその根はおおく地上に露出し、石を噛み、岩を抱く。
根が長く延びた様から老松と呼ばれ、千代を寿ぶ「瑞祥の木」「神木」として貴ばれた。
また、松は枝を水平に張る特性があり、高く枝梢に風を受けて鳴る松風は琴の音色にも例えられ愛でられた。

マツに「影向(ヨウゴウ)の松」という言葉がある。
影向(ヨウゴウ)とは、神が姿を現す、神が現ずる、の意味である。
神木と呼ばれる木は多いがマツの他は影向(ヨウゴウ)とは言わない。
マツは形や大きさは千差万別で、それでいて一見でマツと分かる。
古代人にとってマツはすべてが「影向の松」であり、神のこの世に現われた「仮の御姿」であった。

能舞台奥の鏡板に描かれている松は神が降臨すると信じられていた春日大社の影向の松がモデルで、その後、能舞台にはこれを模した老松が描かれる。
能は本来神に捧げるもので、影向の松は神の依代であり演者はその松に向かって演じるため、鏡板にその松が映っていることを示している。

正月は「松」に始まる。松は歳神様を待つからマツと呼ばれる。
歳神様は新しい年の守り神で、広く先祖の意味と言われる。
歳神様は門松や松飾りを目印に来臨し、松に神霊が宿るとされる。
鏡餅は歳神様への御供え物で、歳神様が人と共に食事をするものがおせち料理である。
1月15日(小正月)に正月飾りを燃やすどんど焼きの火で歳神様を送り出して締めくくる。
これが松の内である。
しかし、このごろでは1月7日までが一般的で松飾りも7日に外すことが多くなった。

日本を代表する松はクロマツとアカマツです。
クロマツ(黒松)アカマツ(赤松)はマツ科マツ属二葉マツ類の常緑高木針葉樹です。
クロマツは太い幹、黒っぽい樹皮、堅い葉、枝葉が力強く広がるため、オマツ(雄松)と呼ばれます。
アカマツは幹が細めで赤っぽい樹皮、やわらかい葉、枝葉が円錐形にほんわり広がるためメマツ(雌松)と呼ばれます。
針葉樹とはおもに北半球に分布し葉による熱の発散を防ぐため、葉形を針のように細くなった樹木です。
葉は1か所の2~5枚が束になって枝につきます。花は雌雄異花で雄蕊だけの雄花と雌蕊だけの雌花を咲かせます。
果実は球状でマツボックリ(松笠)と呼ばれます。

マツの名前の語源
1 マツの葉はほかの木と異なり、幹にまつわるようにして付く。「まつわりつく葉の木」が詰まって「マツ葉木」から「マツ」となった。
2 「待つの木」の意味。常磐木で独特の樹形は神聖視された。
  家の門の立て、神の来臨を期待して待ち、神を奉ずることで幸せがもたらされると信じられたことからマツと呼ばれるようになった。
3 葉が二つに分かれていることから「股(また)」が転化し「マツ」になった。

松の話

松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)
[意味:一年365日変わらず緑を保つ松の樹だが、春には黄緑色の若々しく柔らかい新芽が出て、濃いグリーンの葉は順に茶になり落ちていく。変わらないように見えても、じっとしているだけでは現状を維持できない。]
あまり変わり映えのしない松ですが、目立たない無数の小さな変化を繰り返しながら、風雪に耐えて「千年の翠」を保っているのです。
「変わらないことが大切」というのではなく、変化し続けるからこそ「変わらない状態を維持」することができます。そして、「変わらない」ように見えていても、本当は着実に成長しているのです。

松葉    
松の葉に包むほど僅かである「ほんの手土産です」(手土産の表書きの献辞「上書き」)

 文字通り松の木の葉のことだが、その針のように細い葉は、他の木の葉と違って全く広がりを持たない。朴(ほお)や柏の葉は、朴葉寿司や柏餅などのように物を包むことができるが松葉では何も包めない。
 ここから、松葉で包むほどのわずかな物ですという意味を込めて、昔の人は松葉のしを書いた。
のし袋やお菓子の箱に掛けるのし紙などに「松葉(まつのは)」と書いて、寸志の意を表す。
 粗末な物だから粗品と書き、わずかな物だから寸志あるいは松葉と書くわけではない。
自慢するほどの物でもないし、山のようにたくさんあるというわけでもないという、謙遜の心から出た言葉である。
「ほんのおひとつですが…」などと言って心のこもった品を差し上げる。
そんな古くからの習慣は捨てがたい。
受け取る側も、その何気ない一言の中に相手の心配りや思いやりを感じ取りたいものである。

「こころざしは松の葉」の意味
気持ちさえこもっていれば、ささいな贈り物でも良い

松の管理

クロマツは生長が早く、新梢もよく出るので毎年4~5月にみどり摘みを必ずおこないます。
若木の主幹の先端や枝先に数本出る強い(みどり)は木の高さや長さを決めてから摘みます。
10~3月に枯れ枝や古い葉を取り除く、もみ上げと呼ばれる作業も欠かさず行います。
強い立ち枝、垂れている弱い枝、密生している部分は枝抜きして、全体的に整えます。

アカマツの整枝、剪定は新梢は勢いが良く、主幹の先端や強い上向きの枝は長く延びたら剪定して形を整えます。
枝の必要な個所は、もみ上げの時に葉を数本残せば芽吹いてきます。
仕立て中の木は夏に2回ほど軽く剪定して、枝が長くなったり、枝の強弱が付きすぎないようにします。

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