9月ハギ
9月ハギ
東アジアや北アメリカ東部に約40種、日本にも多くのハギが自生しています。
秋を代表する木だから(くさかんむり)に(秋)と書きます。
秋の七草のひとつですが、草ではなく落葉低木です。
万葉集の花の中で歌われている数は142首で最も多く、いにしえからハギは先人たちの間ではとても身近な植物だったようです。
新芽は萩茶に 葉は家畜の餌に 枝は屋根材や袖垣、炭俵、箒として利用され、根は干して「夜関門」という漢方薬で、咳止め、去痰,胃の痛み、下痢止めに用いられました。
なぜこの花が万葉の昔から日本人の心を惹くのか、特に花が目立つわけでもなく、枝ぶりが良いわけでもない。
しかし、心地よい吹く風にそよぐハギの花を見るとなぜか秋を感じます。
ハギの主な種類
ヤマハギ(山萩)
日本や朝鮮半島に自生し高さ1~2mになります。花期は7~9月で枝はしだれません。
ミヤギノハギ(宮城野萩)
園芸種として最も多く栽培されている種類です。高さ1~2mで枝は地際までしだれます。
花期は6~10月で早く咲きナツハギとも呼ばれます。
マルバハギ(丸葉萩)
別名ミヤマハギ(深山萩)と呼ばれ西日本を中心に分布しています。葉の先が丸いので丸葉萩です。
高さは1m前後、花期は8~10月です。
キハギ(木萩)
本州から九州に分布し、高さ2~3mの大型種です。花期は6~9月でノハギとも呼ばれます。
ハギの名前の由来
1 生え芽(はえぎ)の意味。春先に古い株からたくさんの芽を出す(生える)ことから。
2 小さい葉が歯芽(はぎ)に似ているため
3 鹿が「はむ木」なので転じて(はぎ)と呼ばれるようになった
4 丸みを帯びた葉っぱが若い娘さんの「ふくらはぎ」のように見える為
5 枝でほおきを作ったことから「掃(はき)木」の転訛
ハギの栽培
根に根粒菌ができ、空中の窒素を固定して育ちますのでやせ地にも強く、
日当たりと水はけの良い場所であればどこでもよく育ちます。
植え付けの適期は11~3月で、剪定は枝を更新する意味で2~3年に一度行います。
生育が早いので小さく育てるには毎年行います。
適期は落葉中の冬に思い切って地面から20cmぐらいのところまで刈り込みします。
おはぎの話
はぎといえば人々の生活に欠かせないおはぎとかかわりが深い。
おはぎは秋のお彼岸に作られ、あんこは粒あんで少し小ぶりなあんころもちです。
春のお彼岸はぼたもちで「牡丹の餅」が語源です。
ぼたもちはおはぎに比べ少し大きめで、あんこはこしあんです。
実はこれは小豆の収穫時期に深く関係しています。
小豆の収穫時期である秋は小豆が新鮮で皮も軟らかいことからあんこは粒あんです。
春は収穫時期から時間が経っており、小豆の皮が固くなっているのでこしあんにします。
ではなぜお彼岸におはぎや牡丹餅を食べるのか。
お祝い事などに赤飯を食べます。
これは小豆の赤い色に邪気を祓う力があると考えられたことが始まりです。
仏教では「彼岸」とは苦しみを意味する「此岸」に対し悟りの境地を意味し、仏道修行の日とされています。
これと先祖供養が重なって小豆を食べるようになったとされています。