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8月エノキ

8月エノキ

エノキは本州、四国、九州、朝鮮半島、中国中部、インドシナ、タイに分布し、川筋や山地に生育している落葉高木で樹高は20m位になる。

古名は榎(エ)。稜木(ソバノキ)、榎椋(エムク)、榎実木(ヨノミノキ)、ヨノキ、ヨノミ、エノミ、ユノキの言い方があり、柳田国男は「ヨノキ」は(喜樹)めでたい木、前川文夫は神が降臨する「タタエノキ」ノタタが除かれて「エノキ」になったと考えた。
「ユノキ」は「斎木」、神聖な木を意味すると各地で神と関係づけられ、お正月の餅花を榎に付けるところもある。

このほかにもエノキの名前の由来は数多い。
① 枝の木:よく文枝し、枝が多い所から
② 柄の木:材がやや硬く裂けにくいため鎌など道具の柄につかわれた
③ 餌の木:小鳥(ムクノキ、ヒヨドリ)が好んで実を食べるため(鳥散布型種子)
④ 燃えの木:よく燃えるため(煙が少なく眼が痛くならない」
⑤ 選りの木:一里塚に植えられる選ばれた木 エリノキ→エノキ
⑥ サエの木:道祖神を「サエの神」と呼ぶところからサエノキ→エノキ

木偏に夏と書いて「榎」と読ますのも緑陰が心地よく夏の憩いの場で一里塚や道祖神の脇に植えられて一休みする木陰を作った。
今でも日光街道、中山道など旧街道に老木が残っており昔の面影を残している。

また、エノキには宿り木が良く寄生し、落葉中にその緑色は目立ち、神が宿る木と見られた。

エノキの実は鳥散布型の種子で美味しそうな実をつけムクドリやヒヨドリの大好物です。昔は甘味があるので子供のおやつとされた。

エノキの葉は国蝶のオオムラサキの幼虫の食草でこの木に卵を産む。他にもテングチョウやヒオドシチョウも食草にし蝶の木として顕著である。

材は薪炭、洋家具、土木用柄、滑車等に使われ、板はケヤキに似ている。
木肌は白から淡黄褐色、赤みが無いので心材と辺材の境がはっきりしない。
切断性にすぐれ、盆や器にした場合の重さはちょうど良いが木質は楡よりも硬く、傷はきにくいが、青かびが入りやすい。
普通は丸太の辺材部から入るのだがエノキは芯から先に入る。このため、伐採直後に加工するか、完全に人工乾燥してから加工するしかない。

ことわざでは[榎の実はならばなれ、木は椋の木」「椋の木の下にて榎の実を拾う」「椋はなっても木は榎」などがある。
榎と椋がよく似ていることからきたもので、榎の実がなろうが何がなろうが、椋の木と一度言い出したら、なにがなんでも変える事は無いという意味。
強情を張って、人の言葉を聞き入れないことを言う。

東京競馬場の第3コーナー内側に、俗に「大欅」と呼ばれる大木がある。数々の逸話があり、「欅ステークス」という名の特別競走まで開催されているが、実際は榎(エノキ)であって欅(けやき)ではない。

「榎僧正」と呼ばれて腹を立てた短気な僧正の話は「徒然草」中の有名な部分(45段)です。
当時町中にエノキがかなりあったことがしのばれます。

エノキタケ
エノキタケは売られているものと天然のものとは大きく違います。現在売られているものは改良され色が白くなり、柄も長くかさが小さくなっています。しかし天然のものは茶色く柄の色も黒っぽくなり、また、かさも大きくなっております。天然ものはぬめりも強いのです。
かつて、庭にエノキを植えていた方がいて、邪魔なので枝を切って枯らして置いたら、キノコが生えてきたとのこと。よく見るとそのキノコはエノキタケでした。
エノキに生えるので「エノキタケ」。
同じ命名法に「シイタケ」、「ナラタケ」などがありますが、同じような名前の「クリタケ」はクリに生えるのではなく、クリの実に似ているため名付けられています。

一里塚
「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」これは一休さんが詠んだとのことです。正月になると1つずつ歳をとるので、めでたいようだが一つずつ臨終に近づいていくことでもあるということです。
一里塚とは、かつての街道で目印のため一里毎に盛られた土の塚のことです。
旅人の休憩のため、そこに木が植えられ、木陰で休めるように配慮されていました。
その樹種がエノキでした。エノキ以外にもマツやスギといった樹種も植えられましたが、エノキが断然多かったのです。
エノキが好んで植えられた理由としては、今考えると枝が多く出ること(大きな日陰になりやすい)、また、成長が早くて大木になるからという特徴のためと考えられますが、他にもエノキは生木でも良く燃えることから、夜戦の場合に利用するため軍事上の理由で植えられたとも言われています。中世日本では緑陰と馬鞍の用材をかねて城内によく植えられたようです

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